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「立冬」、太陽黄経は225度になり、ここから三ヶ月間を暦の上では冬とします。
冬になると偏西風の影響でシベリヤから寒気団が南下してきます。この気団が日本海で大量の水蒸気を含み、山を超える時に、大雪をもたらします。雪を降らせ山を超えた後の空気は非常に乾燥し、寒く乾燥した空気が太平洋側に流れ込みます。
冬になり寒く乾燥した空気のせいで最近風邪を引く人を多く見かけるようなりました。

風邪を引きやすいこの季節は、しっかり睡眠を取り、疲れを溜め込まないという養生の基本を心がけてくださいね。
今回は風邪を引かないで上手に冬を過ごしたい人に、蓮根と百合根の和風あんかけ玄米おこげご飯をご紹介させていただきます。

秋から冬にかけて植物の多くは根にエネルギーを集中させます。そのため、冬は蓮根や大根、人参などの根菜類を食することが養生に繋がります。



そして、人間の生命の根っことなる「腎」をケアすることが冬の養生にとっては大切なことです。そのため、活動的に動き回るよりもゆったりした気持ちで冬を迎え、疲れを溜め込まないということが必要です。

通年出回っている蓮根ですが、秋から冬にかけて一番旨味を増し今が旬です。蓮根に見られる多数の穴、孔道と呼ばれる部分は茎の中の水分や栄養分の通り道となっています。




薬膳では、多数の穴を持つ植物は血や水の循環を良くする働きがあるとされています。
またそれ以外にも蓮根の穴が沢山ある様子が肺に似ているため、呼吸器系の機能系統である「肺」を助けると考えています。

肺は五臓の一番高いところに位置し、ウィルスやほこりなどの侵入を防いでくれます。また潤っている状態を好むので冬の乾燥から肺を守ることが風邪を引かないポイントになります。昔から蓮根は肺を潤すことで空咳や喉の痛みに良いとされてきました。

百合根も肺を潤し空咳を鎮めてくれる食材です。





百合根は根と書きますが根っこではなく葉が変形した鱗茎です。葉は植物にとっては呼吸する場所なので、葉や葉が変形した鱗茎は呼吸器系の病気によく使われます。
百合根は漢方薬の「辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)」という副鼻腔炎や気管支炎など肺に熱がこもった際に見られる症状を治療する処方に使われています。

百合根も風邪の予防にはぜひ積極的に使いたい食材ですね。

食材の薬膳的効能

菊の花には菊の花は、日本を象徴する秋の花で、9月9日の重陽の節句(旧暦だと今年は10月14日あたります)に不老長寿を願ってお酒に花びらを浮かべて飲む習慣が昔からあります。
薬膳の役割としては「清熱解毒」の作用があり、秋の乾燥によってのどが炎症を起こした時などに用います。


蓮根と百合根の和風あんかけ玄米おこげご飯

材料(4人分)

豚ひき肉 130g / 生姜 1片 / 百合根 1株 / 蓮根 130g / 片栗粉 大2(水 大2に溶かしておく) / 玄米ごはん 400g(炊いたもの) / 菊の花 適量
(和風あん調味料)
出し汁 2カップ / 醤油 大2 / 酒 大1

作り方
手順① 和風あんかけの調味料を小鍋に入れ火にかけておく。
手順② 蓮根を4ミリ程度の厚さに切る。百合根は一房づつほぐし黒い部分は包丁で切る。
手順③ 生姜をみじん切りにし鍋に油を敷き、中火にかける。
手順④ 生姜の香りがしてきたら、豚ひき肉を入れて炒める。
手順⑤ 豚肉の色が変わったら蓮根を入れて炒め油がなじんだら①を鍋に入れて沸騰したら中火で10分程度、火にかける。
手順⑥ 火が通ったら百合根を入れ、水溶き片栗粉を入れる。トロトロになりあんが出来上がったら火を止める。
手順⑦ 玄米を4等分し、丸いおにきり状にしてから平につぶす。
手順⑧ フライパンに薄い油を敷き玄米ごはんを入れて強火で焦げ目をつける。
手順⑨ おこげができたら器に盛り、あんをかける。最後に菊の花を散らして完成。

田村 英子 EIKO TAMURA

2010年 東京薬科大学薬学部卒業
・薬剤師
・国際中医薬膳師(北京中医薬大学薬膳課卒業)
・「カラダを変える12か月の薬膳」主宰
大学卒業後3年間は調剤薬局に勤務した後、東洋医学の世界に可能性を感じ飛び込み。
漢方相談薬局の老舗「東西薬局」に就職、中医師・菅沼栄、林建豫先生などに師事し中医学を学ぶ。
その後、帯津三敬塾クリニックで漢方・森田療法・ホメオパシー・気功を用いた癌や精神疾患の患者のケアに関わりより広い統合医療を知る。統合医療学会の企画運営や薬剤管理責任者として従事する。
現在、漢方養生堂、富士堂に所属。
カウンセリングで多くの患者と向き合う中、漢方を飲む以前の食習慣を含めた生活習慣の問題をどう立て直し、定着させるかがずっと課題で、本人に納得してもらい、自立して健康管理をしていくために「カラダが変わる12か月のズボラ薬膳」を主催する。