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暦の上では「芒種」、この時期は芒(のぎ)のある稲、麦などの穀物の種を巻く時期です。そして、日本には梅雨全線が張り巡らされ、長い雨をもたらし本格的な梅雨に入ります。

日照時間が短いことから気分が晴れないだけでなく、やる気が出ない・体が重だるい・食欲が沸かないなど「なんとなく不調」が目立つようになります。これは長雨による湿気が体内に留まったことが原因で起こるものです。

今回は梅雨時期をスッキリ過ごしたい方へ、体に溜まった湿気を追い出す枝豆のココナッツミルク粥のレシピをご紹介します。

梅雨になると、体が重だるい、むくむ、頭が重い、めまいがする、食欲が沸かない、下痢・軟便気味などの症状が見られるようになります。これらの症状は体内にも湿気が溜まってしまうことにより引き起こされます。


私達が、食べたものや水分は脾(胃腸)で消化・吸収され全身に配られます。この脾は乾燥を好み、湿気を嫌うので、梅雨時期の湿気の影響により機能が落ちてしまいます。
そのため、食欲が落ちる、下痢・軟便などの消化器症状が出たり、水をうまく吸収して巡らせることができなくなるため、頭が重い・めまいなどの症状が見られるようになるのです。脾の機能が落ちて水がさばけなくなる、水がさばけないことによって更に脾の機能が落ちるといった悪循環に陥ってしまいがちです。

自分の舌をみて歯型があったり、分厚い苔があったりするのも湿気が溜まっているサインですので、毎日自分でもセルフチェックしてみてくださいね。

梅雨時期の養生のポイントは、
・「脾」の機能をたかめること
・体に湿を溜め込まないようにすること
です。

どんな食材が脾の機能を助けて水の巡りを良くするかと言うと梅雨時期に出回る冬瓜や枝豆・空豆などの緑の豆類やトウモロコシなどです。旬の恵みが体にとって良い効果をもたらします

枝豆は大豆を未成熟の青い時期に収穫したもの。薬膳的には脾の機能を高め、水の巡りを良くしてくれる効果を期待でき、梅雨場にはなくてはならない存在です。



枝豆にビールという組み合わせは昭和30年代の高度経済成長の時期に「減反政策」の一環で誕生しましたが、薬膳的に見てもビールによって冷えた脾を温め、余分な水を巡らせてくれるため理に適った組み合わせです。栄養学的にもビタミンB1やB2、必須アミノ酸をバランスよく含み、気血を養い夏場の疲労回復にも役立ちます。そのような観点からも、湿度の高い夏場には積極的に摂りたい食材ですね。

ココナッツミルクはココヤシの成熟種子「ココナッツ」の内側に層状に形成される固形胚乳から得られる甘い乳状の食材です。


薬膳的には夏場に失われがちな体液を補い、暑気払いをしてくれるので、暑くて湿度の高いエスニック料理には欠かせない存在となっています。海辺に育つココヤシですが、海水を吸い上げて成長するため、ココナッツミルクにはカリウム・鉄・マグネシウムなどのミネラル分を豊富に含んでおり、ミネラル分を汗と共に失われてしまう夏場には重宝する食材です。

今回は枝豆とココナッツミルクを用いて、スイーツ感覚でも食べられる玄米粥をご紹介させていただきたいと思います。

食材の薬膳的効能


枝豆のココナッツミルク粥

材料(二人分)

枝豆       … 200g
玄米       … 半カップ
水        … 250cc
ココナッツミルク … 100cc
アボカドオイル  … 大さじ2
ミント(飾り用) … 適宜
枸杞(飾り用)  … 適宜

作り方
手順① 枝豆を茹でて、薄皮を剥がす。すり鉢に枝豆を入れ、アボガドオイル大さじ2を加え、すりこぎですり潰す。ペースト状にした枝豆を大さじ1だけ飾り用にとっておく
手順② 鍋に浸水した玄米とココナッツミルク、水、①を入れ、強火にかける。沸騰したら弱火で30分、お粥を炊く。
手順③ 仕上がったら器に盛り、①のペースと大さじ1を乗せ、更にミントと枸杞を乗せて出来上がり。

シュガーフリーでも充分な甘味を感じることができ、デザート感覚で召し上がることができます。
梅雨時期、食欲のない朝に召し上がっていただくと、食欲や疲労を回復することができておすすめです。

常売られているココナッツミルクには乳化剤が含まれています。気になる方は乳化剤フリーのココナッツミルクを選んでください。


田村 英子 EIKO TAMURA

2010年 東京薬科大学薬学部卒業
・薬剤師
・国際中医薬膳師(北京中医薬大学薬膳課卒業)
・「カラダを変える12か月の薬膳」主宰
大学卒業後3年間は調剤薬局に勤務した後、東洋医学の世界に可能性を感じ飛び込み。
漢方相談薬局の老舗「東西薬局」に就職、中医師・菅沼栄、林建豫先生などに師事し中医学を学ぶ。
その後、帯津三敬塾クリニックで漢方・森田療法・ホメオパシー・気功を用いた癌や精神疾患の患者のケアに関わりより広い統合医療を知る。統合医療学会の企画運営や薬剤管理責任者として従事する。
現在、漢方養生堂、富士堂に所属。
カウンセリングで多くの患者と向き合う中、漢方を飲む以前の食習慣を含めた生活習慣の問題をどう立て直し、定着させるかがずっと課題で、本人に納得してもらい、自立して健康管理をしていくために「カラダが変わる12か月のズボラ薬膳」を主催する。