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暦の上では「清明」、万物が清らかで、生き生きとしていている様子をいいます。しかし季節の境目の今、気温差や気圧変化が激しく、体がついていかないという人も多く見られます。それにより自律神経が乱れ、五臓の中では「肝」が影響を受けて、怒りっぽくなったり、感情の起伏が激しくなってしまう人もいます。

情緒が安定しないこの時期に「肝」の機能を安定させるためのひじきとしらす干しとカシューナッツの玄米薬膳ご飯をご紹介させて頂きます。

この世は木・火・土・金・水という五つの要素から成り立ち、それらが巡ることで成り立っているというのが、東洋医学の基本の「五行学説」です。私達の体も「小宇宙」で、肝・心・脾・肺・腎の五臓から成り立ち、互いに弱いところを補い合い、強すぎるところを牽制し合いながら、役割を保ち健康のバランスを保っていると考えています。

温和な人や気性の荒い人、世の中には様々な人がいるように、五臓はそれぞれの性質から心は「君主」、肺は「宰相(さいしょう)」、肝は「将軍」、脾は「蔵相(ぞうしょう)」、腎は「兵力」と例えられています。

脾や腎は、サポート役の立場であり、東洋医学の体の機能は人間模様や社会の構図をそのまま現しています。

自律神経バランスを担っている肝は「将軍」に例えられますが、ストレスによって肝の機能が失われてしまうことで情緒不安定になり怒りっぽくなることがあります。気圧変化、環境変化など何かとストレスのかかる春に、肝の機能は失調しやすくなります。

高ぶる将軍「肝」を鎮めるためには、肝の機能を安定させることが必要です。それには肝を「血」で満たして、ちゃんと働くようにすること。なつめや枸杞、赤身の肉類、マグロやかつおなどの赤身の魚などの赤い食材、黒豆、あずき、ひじきなどの黒い食材が「血」を補ってくれる食材です。

ストレスに敏感になったり、怒りっぽくなってしまう人は、ストレス発散と同時に「血」を補う食材も是非積極的に摂ってくださいね。

日本は四方を海に囲まれていることから、海藻類を簡単に手に入れることができます。その中でも、今回おすすめしたいのが、ひじきです。
ひじきは縄文時代の土器に付着していたことから、その時代から既に食されてきたと考えられます。ひじきはカルシウムやミネラルを豊富に含み「長寿食」として日本人に親しまれてきました。

薬膳では、「補血(ほけつ)」と言い、血を養う効果を期待できます。また、「養心(ようしん)」と言い、精神的に安定させてくれる効果を期待することができます。その他にも髪に艶を出したり、便通を良くする効果も期待できます。

今回一緒に使うしらす干しですが、カタクチイワシやマイワシの稚魚で、4月から収穫量が増え始めます。しらす干しは、胃腸を温め、生きるのに必要な「気」を養ってくれる食材です。また良質な油を含むことから動脈硬化や老化防止、血液中の脂質低下に役立ちます。

材料(4人分)

玄米 … 2合 / ひじき … 20g / しらす干し … 100g / カシューナッツ… 60g / 三つ葉(飾り用)… 適宜

作り方
手順① 玄米を洗い、一晩浸水させておく。
手順② ひじきは軽く水洗いし、ほこりを取り除いてから、20分から30分程浸水させておく。
手順③ 浸水させておいた玄米とひじきの水を捨て、ひじきご飯を炊く。
手順④ カシューナッツをみじん切りにする。フライパンに油をやや多めに敷き、みじん切りにしたカシューナッツをこんがりするまで弱火で揚げて、ざるで油をこす。
手順⑤ カシューナッツが色よく揚がったら、④のこした油でしらす干しをこんがり色づくまで弱火で揚げて、油をこす。
手順⑥ ひじきご飯にカシューナッツとしらす干しを混ぜる。
手順⑦ 茶碗によそい、三つ葉を散らして完成。

田村 英子 EIKO TAMURA

2010年 東京薬科大学薬学部卒業
・薬剤師
・国際中医薬膳師(北京中医薬大学薬膳課卒業)
・「カラダを変える12か月の薬膳」主宰
大学卒業後3年間は調剤薬局に勤務した後、東洋医学の世界に可能性を感じ飛び込み。
漢方相談薬局の老舗「東西薬局」に就職、中医師・菅沼栄、林建豫先生などに師事し中医学を学ぶ。
その後、帯津三敬塾クリニックで漢方・森田療法・ホメオパシー・気功を用いた癌や精神疾患の患者のケアに関わりより広い統合医療を知る。統合医療学会の企画運営や薬剤管理責任者として従事する。
現在、漢方養生堂、富士堂に所属。
カウンセリングで多くの患者と向き合う中、漢方を飲む以前の食習慣を含めた生活習慣の問題をどう立て直し、定着させるかがずっと課題で、本人に納得してもらい、自立して健康管理をしていくために「カラダが変わる12か月のズボラ薬膳」を主催する。