この記事は約3分で読めます。

「立春」春は五行学説の方位では東、この頃から東から風が吹くようになります。立春から立夏までの3ヶ月を春とします。
中国最古の医学書『黄帝内経(こうていだいけい)』によると、「春は古いものを押し開いて、新しいものが出てくる時で、気持ちも体ものびやかに過ごすこと。万物と同じようにいきいきとした心持ちで過ごすのが良い」とされています。

冬から春に移り変わるこの季節は、体内の「気」が動き出す時で、様々な不調に見舞われてしまいます。

今回は薬膳の智慧を使い、この季節に起こりがちトラブルを解消する「セリとザーサイの薬膳ごはん」をご紹介させていただきます。

春になり日照時間が長くなると、代謝が良くなる一方で、体に熱を帯び、様々な体調トラブルに見舞われる人もいます。この熱は体の上部に昇りやすく、「のぼせ、めまい、焦燥感、イライラする」など「肝が昂ぶる」症状に見舞われます人もいます。

春に採れる食材は理に適っていて、春に起こりがちなトラブルを改善してくれます。春からぐんぐん成長する山菜類は春の食養生に欠かせません。その中でもセリ科の食材パクチー・みつば・セロリなどは気分をスッキリさせてくれるのでおすすめです。

セリ科食材の中でも今回おすすめしたいのが、「セリ」です。
セリは薬膳的には、「平肝(へいかん)」と言って、身体や感情のバランスを整える機能系統である「肝」にこもった熱を取り除いてくれます。春におこりがちなイライラ、のぼせ、怒りっぽくなるなどの自律神経の乱れの症状を落ち着かせてくれます。

また、セリはミリスティシン、カンフェンという芳香成分を含み、香りによって気の巡りを良くしリラックスを助けてくれます。

コロナ禍での春、気分がすぐれないという人は、積極的に取り入れてみてくださいね。

春になると世の中は陽の気で溢れかえってきます。それに呼応して、体の中の陽気も過剰になるのですが、体の中の陰陽バランスを取るために摂りたいのが「陰(いん)」を補う食材です。陰を養う食材はあさり・しじみなどの貝類や果物・豆腐などの食材です。

今回は大豆から豆腐を作るときに出る搾りかす「おから」を使っていきます。

材料

セリ … 1/2把 / ザーサイ … 30g / 生おから … 30g / 玄米ごはん(炊いたもの)… 1合

作り方
手順① ザーサイを水につけて、塩気を抜き、みじん切りにする。
手順② 生のおからをフライパンで、から炒りする。
手順③ セリをみじん切りにし、フライパンに油を敷いて、根っこ、茎、葉っぱの順で炒める。
手順④ ボールに炊いた玄米ごはんを移し、①、②、③を混ぜる。

ザーサイは高菜の漬け物です。あまり塩気を取ってしまいすぎると、美味しくなくなってしまうので、適度に味見をしながら塩気を抜いてください。

セリは根っこの香りが強いので、根っこまで使います。
一物全体食(いちもつぜんたいしょく)と言い、その全てに効果があって、命をいただくというのが薬膳の考え方です。


田村 英子 EIKO TAMURA

2010年 東京薬科大学薬学部卒業
・薬剤師
・国際中医薬膳師(北京中医薬大学薬膳課卒業)
・「カラダを変える12か月の薬膳」主宰
大学卒業後3年間は調剤薬局に勤務した後、東洋医学の世界に可能性を感じ飛び込み。
漢方相談薬局の老舗「東西薬局」に就職、中医師・菅沼栄、林建豫先生などに師事し中医学を学ぶ。
その後、帯津三敬塾クリニックで漢方・森田療法・ホメオパシー・気功を用いた癌や精神疾患の患者のケアに関わりより広い統合医療を知る。統合医療学会の企画運営や薬剤管理責任者として従事する。
現在、漢方養生堂、富士堂に所属。
カウンセリングで多くの患者と向き合う中、漢方を飲む以前の食習慣を含めた生活習慣の問題をどう立て直し、定着させるかがずっと課題で、本人に納得してもらい、自立して健康管理をしていくために「カラダが変わる12か月のズボラ薬膳」を主催する。