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春は節目の時、コロナ禍での卒業・進学・進級、思い思いの春があったことと思います。
コロナウィルスに罹患された方、影響があった方、心よりお見舞い申し上げます。

暦の上では「清明」、万物が清々しく澄んでいる様子を現します。自然界は花が咲き、動物達は冬眠から目覚め、活動的な陽の気で溢れてきます。この時期、人間の体も自然界に呼応して陽の気で溢れてきます。

心身共に活動的になる時期ですが、これが行き過ぎると、いらいらしたり、そわそわしたりと落ち着かなくなってしまうこともあります。

このような季節の変化を気持ちよく受け入れるために、体の土台を作る玄米ごはんのレシピをご紹介させていただきます。

春は陰から陽に転ずる時、体調変化の多い時期なので気を付けましょう



中医学では、この世の全てのものを陰と陽に分けて考えます。陽は活動的でエネルギッシュなイメージを持つもの、陰は落ち着いていて静かなイメージを持つものです。例えば四季で言えば、春夏は陽、秋冬は陰に属します。陰陽が協力し合ったり抑制し合ったりしながら、バランスを変え万物は成り立っています。

春は寒い陰の時期から温かい陽の時期に移り変わる時ですので、体がついていかずに不調を抱えてしまう人もいます。

陽気に溢れる季節は体の中の「陰」を増やしてバランスを取りましょう



体内で陽気が過剰になると、のぼせ・いらいら・頭痛、血圧が高くなるなどの様々な症状が見られるようになります。陽の過剰を抑えるために必要なのは、体の中の陰を増やしてバランスを取ることです。

ここで言う陰を養う食材は体を潤す食材で、薬膳の基本の五味のうち、「鹹味(かんみ)」の食材がこれに当たります。いかやたこ、あさり、しじみなどのミネラル分豊富な海の幸をこの時期は積極的に摂ることをお勧めします。今回はホタルイカを使った玄米ごはんのレシピを紹介させて頂きます。

青い宝石、今が旬のホタルイカ



ホタルイカはホタルイカモドキ科に属するイカの一種です。文字通り、ホタルのように青い光を放ち「青い宝石」などと呼ばれていますが、これは敵を威嚇し身を守るためです。晩春から初夏にかけて産卵時期で、卵を沢山抱えているので今が最も旬です。
薬膳的には体を潤すだけでなく、ホルモンバランスに関わる「腎」に働きかけ、月経不順やおりものを調整し、「血」を補う効果を期待できるため、女性には嬉しい食材ですね。

ホタルイカの栄養成分として注目したいのがタウリンです



タウリンは細胞を正常な働きに戻し、恒常性を維持してくれるのに役立ちます。栄養学の観点からも季節の変わり目には積極的に摂りたいですね。

その他にタウリンを多く含む食材は、タコ、しじみ、アサリ、牡蠣、ホタテなどの魚介類に多いのが特徴です。

食材の薬膳的効能


ホタルイカと黒米の玄米ごはん

材料

玄米(浸漬しておく) … 2合
ホタルイカ      … 300g
黒米         … 大さじ2
生姜(千切り     … 1片
三つ葉(飾り用)

作り方
手順① ホタルイカの下処理をする。目と口、筋(軟骨)を取り除く。
手順② 炊飯器のお釜に玄米・黒米・ホタルイカ ・生姜の千切りを入れ炊く。
手順③ 炊き上がり器によそい、三つ葉を乗せて完成。

今回は黒米を使用しています。これも鉄分豊富で自律神経を司る「肝」の働きを助けてくれます。
ストレスを抱えやすい人は普段から常食することをお勧めします。


田村 英子 EIKO TAMURA

2010年 東京薬科大学薬学部卒業
・薬剤師
・国際中医薬膳師(北京中医薬大学薬膳課卒業)
・「カラダを変える12か月の薬膳」主宰
大学卒業後3年間は調剤薬局に勤務した後、東洋医学の世界に可能性を感じ飛び込み。
漢方相談薬局の老舗「東西薬局」に就職、中医師・菅沼栄、林建豫先生などに師事し中医学を学ぶ。
その後、帯津三敬塾クリニックで漢方・森田療法・ホメオパシー・気功を用いた癌や精神疾患の患者のケアに関わりより広い統合医療を知る。統合医療学会の企画運営や薬剤管理責任者として従事する。
現在、漢方養生堂、富士堂に所属。
カウンセリングで多くの患者と向き合う中、漢方を飲む以前の食習慣を含めた生活習慣の問題をどう立て直し、定着させるかがずっと課題で、本人に納得してもらい、自立して健康管理をしていくために「カラダが変わる12か月のズボラ薬膳」を主催する。