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早いもので今年も残すところあと僅かとなりました。健康で当たり前の日常を送れることが、いかに尊いことかを思い知らされ、激動の一年は、人生の大きな棚卸しをしているかのようでした。大きな環境変化に慣れていくことに心身共に疲れを感じている人も多いと思います。

今回は「今年一年、本当にお疲れさまでした」の意味を込めまして、体を滋養し元気を与えてくれる玄米を使った参鶏湯風スープのレシピをお伝えしたいと思います。
頑張った自分をぜひたっぷり労わってあげてくださいね。

参鶏湯は韓国料理で、読んで字のごとく、高麗人参と鶏を丸ごと一羽使った料理のことです。内蔵を取った鶏にもち米や栗、なつめなどを詰めて長時間煮込みます。

滋養強壮効果が高いため、韓国では夏場の最も暑い日「伏日(ポンナル)」に暑気払いとして食されているものです。スタミナ源として高麗人参などの生薬を使っていますが、骨付きの鶏肉を煮込む料理はそれだけでも疲れた体を滋養し、生命力を底上げしてくれるものです。

肌艶が良く溌剌とした中医師の先生達に普段何を食べているのか聞くと、決まって返ってくる答えが骨付き肉でした。そんな骨付き肉の薬膳的な魅力をご紹介したいと思います 。

以臓補臓という言葉が中医学にはあります。例えばハツ(心臓)を食べると心臓を強化すると考えるように、似ている臓を食べることで、その臓を養うという考え方です。

骨付き肉をじっくり煮込むことで、骨に含まれるコラーゲン成分が溶け出し、これが骨や筋肉を強くしてくれます。また、それだけでなく皮膚や髪を潤し艶を保つため、内側からの老化を防いでくれるのです。 そして、鶏肉の良質なタンパク質は、体の基礎となる気血を養い、疲労や気力の回復を助けてくれます。

冬は五臓の中で「腎」が傷つきやすく、足腰が弱ったり、トイレが近くなる、気力が沸かない、精神が萎縮するなどの老化現象が起こりやすいのが特徴です。冬場は特に普段使っているお肉を骨付きのものに変えて料理してみてください。

今回は、高麗人参やなつめ、丸鶏など手に入りづらい食材は使わずに、普段の食材で作れる参鶏湯風スープをご紹介します。

食材の薬膳的効能

葱、にんにく、生姜、唐辛子、全て辛味の食材で「寒」を散じてくれる効果があります。ぞくぞくと寒気のする風邪、「風寒感冒」の風邪を引いた時に摂って頂くといい食材です。「おかしいな」と思ったら、たっぷり摂るようにしてくださいね。


玄米の参鶏湯風スープ

材料(4名分)

鶏手羽元    … 400g
葱       … 1本
生姜      … 2片
にんにく    … 1片
玄米      … 1/2カップ
糸切り唐辛子  … 適量

作り方
手順① 玄米は洗ってざるにあげておく。
手順② 葱の白い部分は1cm幅の斜めカットにする。青い部分は小口切りにし、飾り用に一部取っておく。
手順③ 生姜を千切りにする。にんにくはみじん切りにする。
手順④ ①~③の材料を全部鍋に入れて、水1800ccを加えて沸騰してから1時間煮込む。
手順⑤ 器に盛ったら、小口切りにした葱と糸切り唐辛子を乗せて完成。

参鶏湯は何も味付けをしません。キムチや海苔をのせて、その時々で自分の好みの味付けを楽しんでくださいね。

田村 英子 EIKO TAMURA

2010年 東京薬科大学薬学部卒業
・薬剤師
・国際中医薬膳師(北京中医薬大学薬膳課卒業)
・「カラダを変える12か月の薬膳」主宰
大学卒業後3年間は調剤薬局に勤務した後、東洋医学の世界に可能性を感じ飛び込み。
漢方相談薬局の老舗「東西薬局」に就職、中医師・菅沼栄、林建豫先生などに師事し中医学を学ぶ。
その後、帯津三敬塾クリニックで漢方・森田療法・ホメオパシー・気功を用いた癌や精神疾患の患者のケアに関わりより広い統合医療を知る。統合医療学会の企画運営や薬剤管理責任者として従事する。
現在、漢方養生堂、富士堂に所属。
カウンセリングで多くの患者と向き合う中、漢方を飲む以前の食習慣を含めた生活習慣の問題をどう立て直し、定着させるかがずっと課題で、本人に納得してもらい、自立して健康管理をしていくために「カラダが変わる12か月のズボラ薬膳」を主催する。