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二十四節気では立冬を迎え、乾燥した冷たい空気に冬の気配を感じます。
秋に果実が実り、収穫が終わると、植物達は葉を枯らし地上部での成長を止めます。植物と同じように、私達も冬に向け、精神的にも肉体的にもペースダウンし、過度に発散することを控えることが養生につながります。

今回は、本格的な冬を迎える前に身体作りをしていただくための、蓮根と玄米の鶏団子スープをご紹介します。

根っこに蓄えた「気」をいただくことが冬に向けての食養生

冬が近づくと植物は地上部を枯らし、目に見える成長を止めていますが、根っこの部分に大いなる生命力を蓄えています。これは人間も同じで、冬にペースダウンすることでエネルギーを蓄え、春から活動する原動力につなげていくことができます。冬は夏よりも一時間早く寝て遅く起きること、寒さから身を護ることで、心も体も充実させることができるのです。

また、今の時期は、根っこの部分に栄養を蓄えている、にんじん・大根・蓮根などの根菜類を食べることをおすすめします。薬膳においては、単純に栄養を摂るという概念でなく、食の持つ「気」を頂くことで体を滋養していくのです。ですので、自然で起きていることを深く観察し、「気」が集まる食材を選んでいくことが養生につながります 。

秋から冬へ移り変わる時期におすすめの蓮根

蓮根はハスの根が肥大したものです。穴があいていて「見通しがきく」という意味から、昔からお節料理などの縁起物には欠かせない食材とされてきました。
中国では蓮根を乾燥させパウダー状にしたものが市場に出回り、これをお湯に溶かして飲むことで冬の厳しい乾燥から身を守り、風邪の予防などに役立てています。

薬膳では、呼吸器を司る「肺」を潤すことで、その働きを高めます。のどの渇きを潤し、咳を鎮める効果を期待できます。その他にも、大根・かぶ・白木耳・松の実・梨・百合根・くわいなどの白い食材は肺を潤す食材が多いのが特徴です。

蓮根は寒性で身体を冷やす性質がありますので、冷え性の方は食べ過ぎないようにしましょう。今回は生姜や葱などの熱性の薬味や鶏肉などの温める食材と組み合わせることで、冷やさないようバランスを取っています。

食材の薬膳的効能


蓮根と玄米の鶏団子スープ

材料(4名分)

蓮根         … 100g
生姜(みじん切り)  … 5g
ねぎ(みじん切り)  … 5cm
鶏ももひき肉     … 240g
玄米ごはん      … 80g
食用菊        … 適量

<ひき肉用調味料>
片栗粉        … 大さじ1
塩          … 小さじ2
砂糖         … 小さじ1/2
鶏卵         … 1個
紹興酒        … 小さじ1

<スープ用調味料>
紹興酒        … 大さじ1
鶏ガラスープの素   … 大さじ1

作り方
手順① 蓮根の皮を剥き、すりおろす。
手順② 鶏ひき肉を粘りが出るまでこねる。こねたひき肉にさらに片栗粉、塩、砂糖、鶏卵、紹興酒を入れてこねる。
手順③ ②が全体的に混ざったら、ねぎ、生姜、玄米を入れてこねて8等分にする。
手順④ 水800ccにスープ用調味料を入れ沸騰させたら、③を団子状にして中に入れる。中まで火が通ったら器に盛って、食用菊を散らして出来上がり。

食用菊は今回は飾り付けとして使っていますが、苦味が熱邪による炎症を鎮めてくれるため、のどの痛みや吹き出ものの初期に効果的です。
蓮根をすりおろしてお湯に加え、菊の花を加えれば、のどの痛みや渇き、空咳などの症状を和らげてくれます。

田村 英子 EIKO TAMURA

2010年 東京薬科大学薬学部卒業
・薬剤師
・国際中医薬膳師(北京中医薬大学薬膳課卒業)
・「カラダを変える12か月の薬膳」主宰
大学卒業後3年間は調剤薬局に勤務した後、東洋医学の世界に可能性を感じ飛び込み。
漢方相談薬局の老舗「東西薬局」に就職、中医師・菅沼栄、林建豫先生などに師事し中医学を学ぶ。
その後、帯津三敬塾クリニックで漢方・森田療法・ホメオパシー・気功を用いた癌や精神疾患の患者のケアに関わりより広い統合医療を知る。統合医療学会の企画運営や薬剤管理責任者として従事する。
現在、漢方養生堂、富士堂に所属。
カウンセリングで多くの患者と向き合う中、漢方を飲む以前の食習慣を含めた生活習慣の問題をどう立て直し、定着させるかがずっと課題で、本人に納得してもらい、自立して健康管理をしていくために「カラダが変わる12か月のズボラ薬膳」を主催する。