皆さんこんにちは。新年度が始まり暖かくなってきましたね。新しい環境や出会いが多いこの時期に私は毎年わくわくした気持ちにさせられます。この冬を振り返ってみると、例年以上の寒さを感じた方も多いのではないでしょうか。昨年末から次々と強い寒気が襲来し、東京では大雪が降り交通機関が混乱することもありました。

そんな寒さ厳しい冬場ですが、ビーチバレーの練習はどうしているのかという質問をよく受けます。その答えは、『夏と変わらず外で練習する』です。

さすがにTシャツ短パンというわけにはいきませんが、全身防寒対策をしながら寒空の下練習します。もちろん身体が冷える状態では夏場のような運動量を保つことは難しいので、基礎技術や体力の向上を目指す選手が多いです。学校の授業でいうところの単語の暗記や公式の理解といったところでしょうか。

そうして冬場に蓄えた技術や体力を新シーズンで発揮できるよう、暖かくなってきたこの時期から試合形式の練習へと移行していきます。かくいう私も、この冬は今までのキャリアと全く違う基礎トレーニングを行ってきたので、今度のシーズンでどんな活躍が出来るか非常に楽しみです。

それは今までとどのように違うのか気になる方は、ぜひ試合にお越し頂くかライブ配信をご覧になって倉坂を追いかけて頂けると幸いです。

先程練習内容の例えとして学校の授業を用いましたが、スポーツと勉強における共通点は多いように感じます。そこで今回のコラムでは、私なりのスポーツの解釈や、日々練習に取り組む上で大切にしている考えについてお話ししていきたいと思います。

皆さんもご経験があると思いますが、学校の授業などのテスト問題において、多くの場合応用問題が用意されています。そしてその難易度と配点は高く設定されています。それらを解く為に必要となるのは基礎知識の理解度の『深さ』だと私は考えます。ただ暗記したものだけではなく、要所に合わせた知識の展開が応用問題を解くカギになると思います。

ビーチバレーボールも同じで、一つの技術を例に出しても活用方法は様々です。更に対人競技である以上、対戦相手が繰り出す様々な攻撃に対応しなければなりません。その時に、それまでに培った技術をどのように応用しながらアウトプットできるかが試されます。

一つ具体的な例を出すと、トスという技術があります。味方からのパスをアタックに繋ぐ技術です。6人制のバレーボールではセッターというポジションが専門的にプレーします。このトスを、ただ繋ぐだけでなく、空中に上げる高さを変えたり、回転を加えたりすることで、アタックの成功率を上げることができます。パートナーの態勢や対戦相手のディフェンスを見ながら、より効果的なトスを繋ぐ必要があります。その為には、ボールコントロールが必要であり、どのように身体を動かすとボールがどう反応するかという、いわばバレーボールの基本を理解する必要があります。

この様に、一つの技術を用いても展開方法は無限にあり、ビーチバレーボールの様に風向きや足場となる砂の性質に合わせながら広く展開させるためには、それぞれの技術を『深く』追及することが必要であると私は考えます。

ではどのような取り組みをすれば『深さ』を身に着けられるのか。色んな要素があると思いますが、一つは選手個人の考える力に依存すると考えています。技術練習をする上で、この技術はどんな場面で使うのか、どう応用したら得点につながりやすいかなど、様々なシチュエーションを想定しながら練習に臨むことで、成果が大きく異なります。つまり、練習の効果は本人の意識次第であり、言うなれば、『どんな練習をするか』よりも『どんな人が練習するか』が重要であるということです。

いくら優秀なコーチが指導しようとも本人の意識が低ければ成長は期待できません。ある程度のコツをつかむことはできても、切羽詰まった場面で問われる生きた技術には程遠いように感じます。

近年のスポーツ指導において主体性という言葉が以前より増えているように、選手個人に考える力が求められています。トップダウンで『やらされる練習』よりも、『選手が自ら考え行動に移す』能力が必要であるということは、これまでのスポーツの歴史が出した現時点での答えのように感じます。

特にビーチバレーボールでは、試合中コーチとの接触を禁じられている為、パートナーと二人で知恵を出し合う必要があります。普段の練習からどれだけ本番を想定できているか、私たちは常に自分に問いかけています。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

内容が具体的になり、私個人の意見が強くなって参りました。拙い表現や生意気な発言が増えるかもしれませんが、お付き合い頂けると幸いでございます。 それでは来月もお会いできることを楽しみにしております。


倉坂 正人 MASATO KURASAKA

石川県金沢市出身
石川県立工業高→早稲田大→三菱オートリース→フリー

ランキング6位(全565人中)
2022年前期 強化選手
東京オリンピック代表決定戦 準優勝
JBVシリーズ2020千葉市長杯 優勝

2022年 クオリティソフトがスポンサード

倉坂選手プロフィール
https://beach.jva.or.jp/player_men/masato_kurasaka_2022/

倉坂選手インスタグラム
https://www.instagram.com/masato_kurasaka/