季節を感じる12ヶ月の養生ごはん5月

こんにちは。新型コロナウィルスによる自粛が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。

今まで忙しくて生活に目を向ける余裕がなかった人も「Stay Home」によって、暮らしそのものを楽しむという、シンプルな生活に回帰しているようです。
一方、先の見えない不安の中、我慢を強いられている人も多くいます。罹患された方や生活に支障をきたしている方に心よりお見舞い申し上げます。

再び心穏やかに安心して暮らせる日が一日でも早く戻ってきますよう。今回は先行きの見えない中、心をスッキリさせてくれる玄米ごはんのレシピをご紹介したいと思います。

不老長寿を願う八十八夜の新茶

新緑が鮮やかで爽やかな今の季節は、コロナさえなければとても過ごしやすい季節ですね。
この時期、茶摘みが始まりますが、その年の最初に採れたお茶を「新茶」といいます。冬の間に旨味を蓄えて芽吹いた新茶はたっぷり栄養成分を含み、お茶の中でも最も品質の良いお茶とされています。

新茶と言えば、「夏も近づく八十八夜〜♪」の茶摘みの歌が有名です。
春分から数えて八十八日目(今年でしたら5月1日)に採れた新茶は、八が末広がりであることから昔から飲めば不老長寿で縁起が良いものとされてきました。

今が旬の新茶の薬膳的力

漢方薬にも唯一お茶を使う処方があります。「川芎茶調散」(せんきゅうちゃちょうさん)という処方で、これは頭痛の時に使われます。
緑茶などのお茶を漢方では、「茶葉」(ちゃよう)と呼びます。五味(酸・苦・甘・辛・鹹)のうち茶葉の苦味は、体にこもった熱を取り除いてくれる作用があります。
考え事をしすぎたり、頭を使いすぎたりした時に、頭に熱がこもり、充血しているような経験をしたことはないでしょうか。茶葉などの葉類は、ふわりと体の上部に働きかけ、頭にこもった熱によって起きる頭痛やめまい、目の充血をスッキリ、解消してくれる効果があります。

また、苦味は五臓の中では精神・意識活動に関係している「心」の働きを助けるものが多く、心の煩いを取り去ってくれます。思ったように事が進まなくて焦ったり、心落ち着かない日々を送っている時に緑茶を飲むとスッキリしておすすめです。

緑茶の薬膳的効能

抗ウィルス効果を期待して飲みたい緑茶カテキン

また緑茶に含まれるエピガロカテキンガレートには抗ウィルス効果があるということがインフルエンザウィルスを対象とした研究で明らかにされています。新型コロナウィルスに対してはまだ有効性があるとは言えませんが、予防効果を期待して是非積極的に摂って頂きたいと思います。

今回はそんな緑茶で作る「緑茶の茶飯」と「五臓を養う五色の緑茶ふりかけ」をご紹介したいと思います。

緑茶の茶飯

材料(2名分)

緑茶 … 大さじ2杯
玄米 … 2合

作り方
手順① 緑茶をすりこぎですって粉々にする。(なければフードプロセッサーで粉々にする)
手順② 粉々にした緑茶と充分浸水した玄米を炊飯器にかけて炊く。

簡単すぎてすみません、程よい苦みがスッキリした気分にしてくれます。

五臓を養う五色の緑茶ふりかけ

材料

緑茶   … 大さじ2
白ごま  … 小さじ1
陳皮   … 小さじ1(みかんの皮を干したもの)
あみえび … 大さじ2
あおさ  … 大さじ1

作り方
手順① 全てをフライパンにいれ焦げないよう弱火で炒る。
手順② からからになったら、①をフードプロセッサーに入れ細かくする。

五臓のうち緑茶(緑)は肝・心、白ごま(白)は肺、陳皮(黄)は脾、あみえび(赤)は腎、あおさ(黒)は腎を養います。

陳皮は温州みかんの皮を干したものです。スーパーの中華食材コーナーやインターネット販売、漢方薬局などで手に入れることができます。消化を助けてくれるものですので、お粥やお肉の煮込み料理などに入れてもいいですよ。

田村 英子 EIKO TAMURA

2010年 東京薬科大学薬学部卒業
・薬剤師
・国際中医薬膳師(北京中医薬大学薬膳課卒業)
・「カラダを変える12か月の薬膳」主宰
大学卒業後3年間は調剤薬局に勤務した後、東洋医学の世界に可能性を感じ飛び込み。
漢方相談薬局の老舗「東西薬局」に就職、中医師・菅沼栄、林建豫先生などに師事し中医学を学ぶ。
その後、帯津三敬塾クリニックで漢方・森田療法・ホメオパシー・気功を用いた癌や精神疾患の患者のケアに関わりより広い統合医療を知る。統合医療学会の企画運営や薬剤管理責任者として従事する。
現在、漢方養生堂、富士堂に所属。
カウンセリングで多くの患者と向き合う中、漢方を飲む以前の食習慣を含めた生活習慣の問題をどう立て直し、定着させるかがずっと課題で、本人に納得してもらい、自立して健康管理をしていくために「カラダが変わる12か月のズボラ薬膳」を主催する。