この記事は約2分半で読めます。

立春・立夏・立秋・立冬の季節が変わる前の節目の時を「土用」といい、土用には春土用・夏土用・秋土用・冬土用の一年に四回あります。これは万物が「木・火・土・金・水」の要素を持つ五行学説が基本となっています。
春は木、夏は火、秋は金、冬は水に属し、残りの土を季節の変わり目に割り当てました。

この「土用」の時期には、土気が盛んになるため、土を掘り起こしたり、家を建てたりすることは縁起が悪いことだと考えられています。

「秋土用」は、今年は10月20日から11月6日までの18日間ですが、季節変化がある時期は気温や気圧差が大きいため、体に負担がかかります。体がしっかりしていればこの変化による影響の振れ幅が小さくて済むため土用には、人間の「土」の部分=「消化吸収を担う部分」を養い、体や心を安定させていくことが養生につながります。

どんなものを食べても胃腸がしっかりしていないと栄養となりません。
「馬肥ゆる秋」ですが食欲にまかせて食べてしまうと、胃腸に負担がかかってしまいます。
ですので、腹八分目を心がけ、胃に圧迫感を感じたら箸を置くようにしてみてください。

秋土用にはどのような食材を摂ればいいかというと、玉ねぎや大根などの「た」のつく食べ物、また秋刀魚や鯖などの青魚を食べると縁起が良いとされています。



また薬膳的に考えると「土」を養う食材は、栗やかぼちゃ、さつまいもなど黄色くて天然の甘みのある食材ですので、今が旬のこれらの野菜を積極的に摂ることをお勧めします。

今が旬と言えば秋鮭です。秋鮭は、数年間海遊した後、産卵するために日本の川に戻ってきた鮭で9月頃から収穫されます。



産卵後に収穫されるため、脂があまりのっておらず、ムニエルや揚げ物に適しています。鮭は薬膳では胃腸を養い、気血を補うため体の土台作りに積極的に摂りたい食材です。また赤色天然色素の「アスタキサンチン」を豊富に含み抗酸化作用があり、生活習慣病を引き起こす活性酸素を除去します。

今回はこの秋鮭を使った玄米ごはんをご紹介いたします。

食材の薬膳的効能

菊の花には菊の花は、日本を象徴する秋の花で、9月9日の重陽の節句(旧暦だと今年は10月14日あたります)に不老長寿を願ってお酒に花びらを浮かべて飲む習慣が昔からあります。
薬膳の役割としては「清熱解毒」の作用があり、秋の乾燥によってのどが炎症を起こした時などに用います。


秋鮭の玄米炊き込みご飯

材料

秋鮭       … 2切れ
玄米       … 2合
みりん      … 大さじ1
ベニ花油     … 大さじ1
食用菊      … 適量

作り方
手順① 玄米を浸水させておく。
手順② 炊飯器に分量の水と鮭、みりん、ベニ花油を入れて炊く。
手順③ 炊き上がりに食用菊を散らして完成。

田村 英子 EIKO TAMURA

2010年 東京薬科大学薬学部卒業
・薬剤師
・国際中医薬膳師(北京中医薬大学薬膳課卒業)
・「カラダを変える12か月の薬膳」主宰
大学卒業後3年間は調剤薬局に勤務した後、東洋医学の世界に可能性を感じ飛び込み。
漢方相談薬局の老舗「東西薬局」に就職、中医師・菅沼栄、林建豫先生などに師事し中医学を学ぶ。
その後、帯津三敬塾クリニックで漢方・森田療法・ホメオパシー・気功を用いた癌や精神疾患の患者のケアに関わりより広い統合医療を知る。統合医療学会の企画運営や薬剤管理責任者として従事する。
現在、漢方養生堂、富士堂に所属。
カウンセリングで多くの患者と向き合う中、漢方を飲む以前の食習慣を含めた生活習慣の問題をどう立て直し、定着させるかがずっと課題で、本人に納得してもらい、自立して健康管理をしていくために「カラダが変わる12か月のズボラ薬膳」を主催する。