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暦の上では「立夏」、新緑が爽やかでとても過ごしやすい季節となりました。緊急事態宣言が敷かれ移動が制限される中でのゴールデンウィーク、どのように過ごすのか、それぞれ工夫されたことと思います。

爽やかな季節とは相まってGW明けに多いのが「五月病」、やる気が沸かない、疲れを感じる、食欲がわかない、なんとなく体調が悪いと感じる人もいるでしょう。春に部署移動や進学、進級などの環境変化があり5月になると疲れが出始める頃かと思います。

今回はそんなスッキリしない気分を晴らす、鯵と紫蘇の玄米寿司をご紹介します。

寿司は、ひな祭りなどのお祝いごとや人をもてなす時だけでなく、普段の食卓にも登場する程、日本の代表格と言えるものです。


すしの起源は東南アジアという説が有力です。山岳地域の民族が、魚を米や塩、酢に漬けて保存したのが始まりと言われています。
酢飯を使った早寿司が登場したのは江戸時代のこと。この頃からすしが庶民に浸透していきました。
保存食としての役割もあり、これから気温が高くなりごはんが傷みやすくなる季節に酢飯はお勧めです。

今が旬の鯵(アジ)は、青魚の代表格でEPAやDHAなどの不飽和脂肪酸を豊富に含んでいます。



認知症予防、動脈硬化の予防に役立つだけでなく、炎症を鎮め、神経伝達物質を調整、神経保護をするなどの多様な働きがあります。不飽和脂肪酸の中でもEPAのうつ病に対する有効性は複数報告されています。
また薬膳的には胃腸を温め働きを良くしてくれるので食欲が沸かず元気がない時に食すると良い食材です。

生で用いると冷えて胃腸に負担がかかるので、食欲が湧かない焼いて火を通したものが良いでしょう。今回は焼いて用いてます。

紫蘇はシソ科シソ属の植物で起源は中国です。


こちの食材も今が旬です。食中毒の防止など古来より薬草として使われてきました。紫蘇の独特な香りぺリルアルデヒドは気の巡りを良くし気分をスッキリさせてくれます。漢方でも「香蘇散」や「半夏厚朴湯」など「気鬱」の症状を改善してくれる漢方薬に使われています。

また、コロナ禍でストレスによる喉のつまり感を訴える人が増えていますが、紫蘇はこのつまり感を解消する効果を期待できます。五月病や、これから来る梅雨時期、気分がスッキリしない時には是非積極的に摂りたい食材ですね。

紫蘇は栽培もしやすいので、家にいる時間が長くなった今、ご自宅で作ってみるのも良いですよ。

食材の薬膳的効能


鯵と紫蘇の玄米寿司

材料

玄米  … 2合
鯵   … 1尾
紫蘇  … 10枚
茗荷  … 2個

★調味料
酢   … 40cc
塩   … 小さじ1
甘酒  … 大さじ1

作り方
手順① 玄米を硬めに炊く(通常炊飯する水分量より30cc 大さじ2少なく炊き上げました。)
手順② 炊きあがったら、ボウルに移し☆の調味料を入れてうちわなどで仰ぎながら、「切る」と「かえす」の行程を繰り返し熱を取るように混ぜる。
手順③ 鯵に塩を振り10分おいた後、キッチンペーパーで水分をしっかり拭き、魚焼きグリルで焼く。
手順④ 焼いた鯵をほぐして骨と皮を覗き、②に入れて混ぜる。(この時、鯵の熱が冷めてからほぐすとほぐしやすい。)
手順⑤ 紫蘇の千切り茗荷の輪切りを②に混ぜる。器に持って完成。

今回は甘味に砂糖ではなく甘酒を使いました。砂糖不使用の「本みりん」でも代用できます。


田村 英子 EIKO TAMURA

2010年 東京薬科大学薬学部卒業
・薬剤師
・国際中医薬膳師(北京中医薬大学薬膳課卒業)
・「カラダを変える12か月の薬膳」主宰
大学卒業後3年間は調剤薬局に勤務した後、東洋医学の世界に可能性を感じ飛び込み。
漢方相談薬局の老舗「東西薬局」に就職、中医師・菅沼栄、林建豫先生などに師事し中医学を学ぶ。
その後、帯津三敬塾クリニックで漢方・森田療法・ホメオパシー・気功を用いた癌や精神疾患の患者のケアに関わりより広い統合医療を知る。統合医療学会の企画運営や薬剤管理責任者として従事する。
現在、漢方養生堂、富士堂に所属。
カウンセリングで多くの患者と向き合う中、漢方を飲む以前の食習慣を含めた生活習慣の問題をどう立て直し、定着させるかがずっと課題で、本人に納得してもらい、自立して健康管理をしていくために「カラダが変わる12か月のズボラ薬膳」を主催する。