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暦の上では「立春」を迎えました。春寒の冷たい空気の中にも、花の蕾がふくらみ、春の訪れを感じて喜びが溢れてきます。この時期、根っこに蓄えていた気が上昇し始め、草木は芽吹き、植物は芽やつぼみの部分に気を集中させます。春の山菜類は、今が旬の最も活きのいい食材です。

今回は、今の季節にしか味わえない、ふきのとうと陳皮で作る玄米焼きおにぎりを紹介させていただきます。

春はのんびりすごす


自然界に陽気が充実してくると寒さで縮こまっていた体も少しずつ緩んできます。春になると草木がのびのびと枝葉を伸ばすように、人間も自然界と呼応して、心身共に活発になってきます。

しかし、ここで一気に色々なことを始めるのではなく、ゆったりとのびのび過ごすがことが養生の秘訣です。朝は少し早めに起きて、きつくない衣類を身につけたり、気持ちも体もゆったりと過ごすことをおすすめします。

山菜(ふきのとう)

雪解けの頃、春一番に芽を出すふきのとうは春の訪れを告げてくれる今しか味わえない旬の食材です。ふきのとうはキク科のフキの蕾の部分で、日本原産の植物です。

ふきのとうには独特の苦みがあり、これは植物性アルカロイドによるもので、冬に溜まった老廃物の排泄を助けてくれます。薬膳でも五味のうち「苦味」のものは、デトックスする効果を期待できるので、春は山菜類を積極的に摂ることが養生につながります。

陳皮

陳皮とは温州みかんの皮を日陰干ししたもので、誰でも簡単に作れます。揮発性成分が飛びマイルドになることから古ければ古いほど、良質とされています。

体に余分な水が溜まってドロドロになった状態を「痰湿」と言い、体がむくんだり、重たくなったりします。痰湿が溜まらないようにするには、胃腸の消化吸収力を上げていく必要があります。陳皮は、「六君子湯」などの胃腸の機能を上げる漢方薬に使われ、胃腸の気の巡りを良くし消化を助け、体内に痰湿が溜まるのを防ぎます。
デトックスを助ける食材として今回はふきのとうと一緒に使用していきます

無農薬のみかんを手に入れたら、皮を捨てずに日陰干しにして使ってみてくださいね。

食材の薬膳的効能


ふきのとうと陳皮で作る玄米焼きおにぎり

材料(4名分)

ふきのとう    … 400g
陳皮       … 大さじ1

味噌       … 80g
みりん      … 大さじ1
酒        … 大さじ1
炊いた玄米ごはん … 1合

作り方
手順① 味噌・みりん・酒を混ぜ合わせておく。
手順② 陳皮を20分程、水に浸け柔かくする。
手順③ ふきのとうをみじん切りにする。
手順④ 鍋に油を敷き、陳皮を入れ少し香りがたったらみじん切りにしたふきのとうと①を入れ加熱する。
手順⑤ 火が通り全体的にしんなりしてきたら、火を止める。
手順⑥ 炊いた玄米ご飯1合を8等分し、おにぎりを作りふきみそを塗る。
手順⑦ ⑥を魚焼きグリルかトースターで5分間温めて完成。

通常ふきみそは最後に砂糖を入れるケースが多いのですが、佐藤は痰湿を生む原因になりますので今回は入れてません。


田村 英子 EIKO TAMURA

2010年 東京薬科大学薬学部卒業
・薬剤師
・国際中医薬膳師(北京中医薬大学薬膳課卒業)
・「カラダを変える12か月の薬膳」主宰
大学卒業後3年間は調剤薬局に勤務した後、東洋医学の世界に可能性を感じ飛び込み。
漢方相談薬局の老舗「東西薬局」に就職、中医師・菅沼栄、林建豫先生などに師事し中医学を学ぶ。
その後、帯津三敬塾クリニックで漢方・森田療法・ホメオパシー・気功を用いた癌や精神疾患の患者のケアに関わりより広い統合医療を知る。統合医療学会の企画運営や薬剤管理責任者として従事する。
現在、漢方養生堂、富士堂に所属。
カウンセリングで多くの患者と向き合う中、漢方を飲む以前の食習慣を含めた生活習慣の問題をどう立て直し、定着させるかがずっと課題で、本人に納得してもらい、自立して健康管理をしていくために「カラダが変わる12か月のズボラ薬膳」を主催する。