長い梅雨が明けました。二十四節気では「大暑」、夏の節気の最後にあたるこの時期、強い日照りによる「熱」と梅雨に豊富に含まれた水分である「湿」が地から蒸され、私達の体は、熱と湿による影響を受けます。これを「暑気」といいます。それが人体に悪い影響を及ぼす時「暑邪」となります 。

暑気払いとして「土用の丑の日」に食べるうなぎは有名ですが、脂分が多いうなぎは人によって胃もたれすることがあります 。

今回は、暑気払いのためのさっぱりした玄米レシピをご紹介させていただきます。

暑気あたりを中医学用語では「中暑(ちゅうしょ)」を言います。

「暑邪」によって起こされるものに「熱中症」があります。めまい、失神、筋肉痛、吐気、けいれんなどの症状が見られ、重症では意識障害となります。

熱中症に使われる漢方薬に「白虎加人参湯」というものがありますが、暑邪による熱感を取り去り、発汗によって失われた脱水を補正してくれます。この処方の主薬となっている「石膏(せっこう)」という鉱物は、真っ白なため白虎とも呼ばれています。石膏には、体の熱感を去り、口の渇きを潤す作用があります 。

またこの処方には精製していない米である玄米が入っています。玄米は煎じるとドロドロになり、その重湯を用いて脱水を補正するのです。重湯は、消化管の水分吸収を高め、点滴のない時代には必要不可欠なものでした。

夏に摂りたい旬の野菜は夏場を乗り切る自然の恵み

スイカはウリ科の植物で、「天然の白虎」とも呼ばれています。熱中症予防のために「天然の白虎」スイカを摂りましょう。
その他、夏に収穫される苦瓜、冬瓜、糸瓜(へちま)、胡瓜などのウリ科植物には体にこもった余分な熱や湿を尿として体から追い出す作用があるので、夏場、積極的に食べることをおすすめします。
ウリ科の食物以外にも今が旬の夏野菜は、真夏を乗り切るための自然の恵みです。

●スイカ

原産地は、アフリカのカラハリ砂漠で、熱く乾燥した環境下で、スイカの強力な水分吸引力により、人々は良質な水分を補給することができました。また、利尿作用もあるため、体に溜まった余分な水分を追い出してくれます。体が重だるいと感じた時に是非摂りたい食材です。

なすやトマト、ピーマンなどのナス科の植物も余分な熱や湿を追い出し、乾いた体にみずみずしさを与えてくれるのでおすすめです。

食材の薬膳的効能

スイカとトマトの玄米サラダ

材料(4名分)

A.
ミニトマト    … 6個
スイカ      … 30g
玄米ごはん    … 150g
カッテージチーズ … 大さじ2
スペアミント   … 適宜

B.
レモン汁     … 大さじ1
オリーブオイル  … 大さじ1
塩        … 小さじ1/3
オーガニックシュガー … 小さじ1/6

作り方(4名分)
手順① 炊いたご飯を冷やす。冷やしたご飯をボールに入れて、浸るくらいの水をかけてほぐして、よく水切りをしておく。
手順② ミニトマトは真ん中で切り、半分にしたものを更に4等分する。スイカを6〜7ミリ程度の大きさにカットする。
手順③ Aをすべて混ぜる。よく混ぜたBをかける。

田村 英子 EIKO TAMURA

2010年 東京薬科大学薬学部卒業
・薬剤師
・国際中医薬膳師(北京中医薬大学薬膳課卒業)
・「カラダを変える12か月の薬膳」主宰
大学卒業後3年間は調剤薬局に勤務した後、東洋医学の世界に可能性を感じ飛び込み。
漢方相談薬局の老舗「東西薬局」に就職、中医師・菅沼栄、林建豫先生などに師事し中医学を学ぶ。
その後、帯津三敬塾クリニックで漢方・森田療法・ホメオパシー・気功を用いた癌や精神疾患の患者のケアに関わりより広い統合医療を知る。統合医療学会の企画運営や薬剤管理責任者として従事する。
現在、漢方養生堂、富士堂に所属。
カウンセリングで多くの患者と向き合う中、漢方を飲む以前の食習慣を含めた生活習慣の問題をどう立て直し、定着させるかがずっと課題で、本人に納得してもらい、自立して健康管理をしていくために「カラダが変わる12か月のズボラ薬膳」を主催する。