新型コロナウィルスの感染が国内で広がる中、多くの方が不安を感じていることと思います。1人1人が意識して感染しないよう気をつけていくことが最も大切です。1人の感染を予防していくことが、多くの人の感染を予防することに繋がります。

感染をこれ以上広げないためにも今が正念場。今回は、春の旬食材を使って新型コロナウィルスの感染を防ぐための養生ごはんをお伝えしていきたいと思います。

内に気を充実させることで、ウィルスから体を守りましょう。



中国最古の医学書「黄帝内経」には「正気存内、邪不可干」と書かれています。「体に気が充実していれば、外邪(風邪など外界から人体に影響を与えるもの)の侵入を防ぐことができる」という意味です。

「気」とは、私達の体を動かしている生命エネルギーのこと。
目に見えないので、怪しく神秘的なイメージがつきまといますが、お腹が痛い時に自分のお腹に手をあてるだけでお腹の痛みが和らいだ経験はないでしょうか?それは気の働きによるものです。歩く、走る、話すなどのすべての動作、行動は気の力によって行われています。

この気が不足している状態を「気虚」と呼び、気虚の人は疲れやすい、息切れがする、冷えやすくなる、やる気が湧かないなどの症状が見られます。

 

・疲れる、だるい。
・呼吸が浅く息切れがする。
・風邪をひきやすい。
・胃腸が弱くお腹をこわしやすい。
・冷えやすい。
・じんわり汗ばむ。
・舌に歯形がついている。
という症状・状態が気虚の症状です。

また、気は体をウィルスから守ったり、病気にかかった時に回復するのを助けてくれるので、気虚の状態だと風邪を引きやすくなったり、病気にかかった時になかなか回復できなくなります。

新型コロナウイルスや様々な病気にかからないようにするには、気を充実させるよう、なるべく疲れないようにすること、疲れる前に休むなど養生することです。「良く寝ること」「リラックスをして休息を取ること」「ちゃんと食べること」は養生の基本になります。

今回は「鰆とグリーンピースの玄米混ぜごはん」を紹介させていただきます。

鰆 魚編に春と書き春の季語にもなっている鰆(サワラ)は、春を呼ぶ魚とも言われています。


鰆は食べたものを消化吸収する脾胃を養いながら、消化した栄養から気を生み出し、体力回復を助けてくれます。薬膳での効能は「峻補」、これは気などを補う力が非常に強いことを意味します。

また鰆は見た目には白いのですが、鉄分を多く含むので赤身魚に分類されます。赤身魚や肉類のように良質なたんぱく質は、造血幹細胞由来のナチュラルキラー細胞やTリンパ球など免疫に関係している細胞の原料となり、ウイルスなどの異物が入ってきた時に免疫が早く立ち上がるのを補助してくれます。

普段から疲れやすく、風邪を引きやすい方は良質なたんぱく質を是非摂って下さいね。

 

グリーンピースは豆科のえんどうの未熟種子のことで、春から初夏にかけて旬の食材。


このグリーンピースも脾胃を養い、気を補ってくれる食材です。
鰆同様、舌の上に天然の甘みが広がります。薬膳では甘味の食材は、胃腸を養い、気を補う食材が多いのです。また、目にも鮮やかな緑の色は、カロテンが含まれているからで、ベータカロテンは、活性酸素を除去して粘膜・組織を正常に保ちます。

旬のグリーンピースには缶詰や冷凍にはない風味があるので、是非旬を味わってみてくださいね。


鰆とグリーンピースの薬膳的効能

※帰経・・・どこの経絡に入り作用するかという意


材料

玄米      … 2カップ
鰆(切り身)  … 1切れ
グリーンピース … 150g

手順① 玄米を洗い6時間以上浸水させる。浸水させた水は捨てて、しっかり水切りする。
手順② グリーンピースを鍋に入れ、塩少々を加え、沸騰してから3〜4分程ゆでる。
※ゆで終わったらすぐに取り出さずに湯が冷めるまで、そのままにしておくとしわが寄らずにふっくら仕上がります。
手順③ 鰆に塩を振り、10分程度置く。出て来た水分をキッチンペーパーで優しく拭き取り、グリルで焼く。
手順④ 玄米モードで炊く。
手順⑤ 鰆の身をほぐして炊きあがった玄米ごはんにグリーンピースと共に混ぜて出来上がり。

 

その他、気を養う食材としては、豆類・穀類・山芋・鶏肉・豚肉・牛肉・キャベツ・ブロッコリー・きのこ類・鯛などの白身魚などがあります。これらの食材を上手に使って、ウイルスに負けない体作りをしていきましょう。

 


田村英子 EIKO TAMURA

2010年 東京薬科大学薬学部卒業
・薬剤師
・国際中医薬膳師(北京中医薬大学薬膳課卒業)
・「カラダを変える12か月の薬膳」主宰

大学卒業後3年間は調剤薬局に勤務した後、東洋医学の世界に可能性を感じ飛び込み。
漢方相談薬局の老舗「東西薬局」に就職、中医師・菅沼栄、林建豫先生などに師事し中医学を学ぶ。
その後、帯津三敬塾クリニックで漢方・森田療法・ホメオパシー・気功を用いた癌や精神疾患の患者のケアに関わりより広い統合医療を知る。統合医療学会の企画運営や薬剤管理責任者として従事する。
現在、漢方養生堂、富士堂に所属。

カウンセリングで多くの患者と向き合う中、漢方を飲む以前の食習慣を含めた生活習慣の問題をどう立て直し、定着させるかがずっと課題で、本人に納得してもらい、自立して健康管理をしていくために「カラダが変わる12か月のズボラ薬膳」を主催する。