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和歌山県には、知の巨人といわれ民俗学や植物学の世界的研究者で知られる、南方熊楠(みなかたくまぐす)という偉人がおり、いまだに全貌が見えない熊楠の学問と、ときに奇人とも称されるエピソードで、今もなお人々を惹きつけています。
熊楠の研究で有名なのは「粘菌」「変形菌」を発見したことです。当時36種類だった日本の変形菌相に178種類を追加。
1929(昭和4)年には田辺湾の神島(かしま)で昭和天皇へ粘菌に関するご信講を務めたさいに、粘菌の標本をキャラメルの空き箱に入れて献上したことは、今でも語り草になっているそうです。
さらに、当時は自然保護という観念があまりなかった時代でした。その時、生態系が壊れる恐ろしさを「エコロジー」という言葉を使い訴え続けました
世界遺産登録にもなった熊野の森や神社を保護したことから、エコロジーの先駆者として注目されています。
植物学や民俗学の他にもあらゆる学問を研究しており、その膨大で奥深い研究成果はいまだに全貌が明らかにされず、熊楠に魅せられた研究者によって研究が進められています。
一方、人並外れた奇抜な奇行も話題となっていて、幼少期に当時の百科事典「和漢三才図会」105巻を書き写したことがあるそうです。
そしてあんぱんが好きだったことも有名。
徹夜の時はあんぱん6個食べると決めており、近所の子どもに配ったり、好きになった相手にはあんぱんを30個送ったりしたこともあるとか。
様々なエピソードが残る熊楠。田辺市に残る足跡をたどると、思想や熊楠の人物像が少し垣間見れるかもしれませんね。
高山寺は弘法大師が開創したとしたとされているお寺で、地元の田辺市民からは「弘法さん」の名で親しまれています。和歌山県田辺市街を眺めることができる高台にあるお寺で、南方熊楠のお墓があることでも有名です。
熊楠は和歌山市で産まれ、東京大学へ進学後、海外へ飛び出しアメリカやイギリスで知見を広めたのち、明治37(1904)年に田辺市に移住し、昭和16年(1941)年に亡くなるまでの37年の半生を田辺市で過ごしました。
高山寺の南麓には熊楠がよく粘菌の採集に行き、新種などを発見したといわれる猿神社跡があること、熊楠が愛した田辺市街地、田辺湾の神島(かしま)が見下ろせるということで、高山寺内にある墓地の景色がよく見える場所にお墓が建てられています。
現在、神島は森林保護のため上陸禁止になっていますが、ここから神島の自然が壊れないように見守っているのかもしれませんね。
境内には昭和13(1938)年に「高山寺貝塚」が発見され、縄文土器、貝殻、石斧などが出土し、昭和45(1970)年に国の史跡に指定されました。
境内の台地には貝塚が建てられていて、縄文土器や貝がら、鹿の骨など多くの考古資料が発掘され、縄文時代初期の貝塚として広く知られています。
熊楠のお墓以外にも江戸時代に建立した多宝塔。
雨が降った後だったのでちょっと地面が濡れていて暗めの写真になってしまいました。
本堂が夕日に照らされてきれいです。
鐘楼や薬師堂があります。
神島と同じ田辺市にある龍神山の上空を天狗や神様が行き来きをしていて交流をしていたとか、神島には神様が住んでおり、時々天狗が神島を訪れて双方ともに交流を深めていたなどと、様々な言い伝えがあります。
神島と龍神山を繋ぐ南北の空のルートの下を見ると、同じく田辺市にある世界遺産の「闘鶏神社」そして「高山寺」があったこともあり、高山寺にも天狗さんがいたなどの言い伝えがあるようです。
南方熊楠も、植物の研究のため山々を駆け巡っていたため、周りから「天狗」と呼ばれていて熊楠自身も名前の変わりに天狗の絵を書いていたそうです。
なんだか不思議な繋がりを感じますね
熊楠のことを調べるため、高山寺へ話を聞きに行きました。
子どもが騒ぐので外へ出たら関係者の方が子どもを見てくれるという事でお任せしました。
話しが終わり外に出て、庭園を見て回る時に子どもが「ここお姉さんが案内してくれてたよ!天狗が見ているから静かに歩かなきゃいけないんだよ!」と言って、普段は走り回る子どもが静かに歩いていました。
その庭園には、妊婦の安産を守護するという地蔵菩薩の子安地蔵がありました。子どもを抱える姿に、とても優しい気持ちになりました。
山門の入口の左右に仁王像があったのですが、とても迫力があり写真に撮れない雰囲気でおさめることが出来ませんでした。立ち寄った際にぜひ実物を見てみて下さい。
これからも不定期ですが、熊楠のゆかりの地を訪れて熊楠の魅力などを紹介していきたいと思います。
高山寺
住所:〒646-0051 和歌山県田辺市稲成町392
電話:0739-22-0274
駐車場:有
料金:拝観料無料
地図:https://goo.gl/maps/7ywrL1NBHfhXdhLB8(Googleマップ)
お問い合わせ
白浜町商工会青年部
0739-42-4686
レポート:あやこ
たまな商店のスタッフとして日々お客様とのやりとりを楽しみながら、紀伊民報地域ママさんレポーターとしても活躍中!