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暦の上では「啓蟄(けいちつ)」、温かい空気や日射しが本格的な春を運んできてくれます。
この時期になると、土の中で冬眠していた虫や動物達が春の暖かさを感じて、地上に這い出してきます。長い冬が終わり、縮こまっていた気が動き出し、自然とウキウキした気持ちになります。

春は環境の変化の多い時期です。これから進学や進級、就職を控えていて、緊張している人も多いのではないでしょうか。
こんな緊張の時期を落ち着いた気持ちで迎えるために、今回は「レモン麹とディルの薬膳いなり」をご紹介させていただきたいと思います。

春の陽気につられ、体も心も軽やかに、活発になります。何か新しいことを始めたくなりますが、春は心や体を整える「肝」の働きが失調し、自律神経が乱れて、緊張しやすくなります人も多い季節です。

無理して「いつもより早起きをしよう」などと、いつもと違う習慣を取り入れようとすると、更に緊張感が増してしまうことがあります。春に向けて環境変化があり、精神的に落ち着かない人は、普段通りを心がけましょう。

衣服もかっちりしたものよりもゆったりしたものを着たり、のんびり過ごすことがポイントです。活動的になりすぎて、予定を詰め過ぎないよう、何も予定を入れない休日を作ることも、時には必要です。

レモンはインドが起源の植物で、シルクロードを通って伝わり、ヨーロッパの地中海地方を中心に盛んに栽培されるようになりました。日本には静岡県から入り、地中海と気候の似ている瀬戸内海で盛んに栽培されるようになりました。

1964年に輸入自由化され、海外から安くて大量のレモンが輸入されるようになり、国産レモンが大打撃を受けましたが、近頃では、ポストハーベストの問題があり、安心して皮ごと食べられる国産レモンに注目が集まっています。

国産レモンの収穫時期は10月から3月頃の冬の時期。3月になると最後を迎えます。ですので、もし見かけたら迷わず手に入れてみてください。そして、安心できるレモンが手に入ったら、皮まで使い切りましょう。レモンの皮は、薬膳では気の巡りをよくして、明るい気分にしてくれて、緊張を和らげる効果を期待できます。

皮まで使うレモンには様々な使い方があります。イタリアのリモンチェッロなどはレモンの皮まで使った400年以上もある伝統的なお酒です。またレモンはイタリアのシチリア島が有名な産地ですが、果汁を使うよりも皮や葉っぱを料理に使っていきます。

レモンの果肉の部分は、薬膳では体を潤し陽気とともに火照った体をクールダウンさせてくれる食材です。暖かくなり陽気がこもって不快に感じる時に、是非摂りたいですね。

今回はレモンの美味しい食べ方、レモン麹の作り方も合わせてご紹介させていただきます。

レモン麹<材料>

レモン … 2個 / 塩 … 40g / 麹 … 100g / 水… 100ml

レモン麹<作り方>
手順① レモンを微塵切りにする。(※はじめに8等分のくし切りにすると種を取り出しやすくなります。)
手順② 麹に水と塩を加えて、手でよく揉む。
手順③ 容器に①と②を加えて、スプーンで混ぜ合わせる。
手順④ 1週間ほどすると発酵の香りがしてきて完成。冷蔵庫で保存してください。
レモン麹とディルの薬膳いなり<材料>4人分

炊いた玄米ごはん … 1合 / レモン麹 … 大さじ3 / ディル … 適量 / 油揚げ(いなり用)… 4枚

<作り方>
手順① 油揚げを半分に切り、袋になるように口を開く
手順② 沸騰したお湯に油揚げを1〜2分程入れ、油抜きをする。
手順③ 油揚げを両手で優しく潰して、水分を抜く。
手順④ 炊いた玄米ごはんをボールに入れて、レモン麹とディルのみじん切りを加えて、しゃもじで混ぜる。
手順⑤ ③を8等分にし、おにぎりのようにまとめる
手順⑥ ②の油揚げにまとめたごはんを詰める。
手順③ 器に盛り付け完成。

ここで作ったレモン麹は、ドレッシングやカルパッチョなどにも使うことができますよ。


田村 英子 EIKO TAMURA

2010年 東京薬科大学薬学部卒業
・薬剤師
・国際中医薬膳師(北京中医薬大学薬膳課卒業)
・「カラダを変える12か月の薬膳」主宰
大学卒業後3年間は調剤薬局に勤務した後、東洋医学の世界に可能性を感じ飛び込み。
漢方相談薬局の老舗「東西薬局」に就職、中医師・菅沼栄、林建豫先生などに師事し中医学を学ぶ。
その後、帯津三敬塾クリニックで漢方・森田療法・ホメオパシー・気功を用いた癌や精神疾患の患者のケアに関わりより広い統合医療を知る。統合医療学会の企画運営や薬剤管理責任者として従事する。
現在、漢方養生堂、富士堂に所属。
カウンセリングで多くの患者と向き合う中、漢方を飲む以前の食習慣を含めた生活習慣の問題をどう立て直し、定着させるかがずっと課題で、本人に納得してもらい、自立して健康管理をしていくために「カラダが変わる12か月のズボラ薬膳」を主催する。