静岡県産コシヒカリ |
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箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川。
杉本一詩さんの自然栽培の田んぼは、東海道の難所として知られた大井川の河口東岸の旧大井川町(現在は合併して静岡県焼津市)にあります。
一年を通じて日照も十分。そこに大井川の豊かな水が加わって古くから稲作が盛んな地域で、大井八幡宮で毎年3月に行われる「田遊び祭」は、平安時代から受け継がれて国の重要無形民俗文化財に指定されています。
「杉さん」こと、杉本さんが家業の農家を継いで米作りに携わるようになってから約30年。90年代早々から農薬も除草剤も、そして化学肥料だけでなく有機肥料も使わない米作りを続けています。
種の消毒も薬品に頼らず、栽培期間中だけでなく一年中そうした薬を使わないので、「周年不使用」と表現していたら、お役所から「そんな言葉はありません」と言われたそうです。これだけ徹底して薬品を使用しない農法を、適切に表す言葉が役所にも無いそうです。
そんな杉本さんの米作りを、娘さん曰く「ほったらかし農法」だと。
そう言われることに最初は少し心が痛んだそうですが、今では「それがいいんだ。そうでなければいけないんだ」と考えています。
杉本さんの田んぼは、生き物たちにとってとても居心地がいい場所のようです。
あぜ道を歩くとカエルたちが田んぼに飛び込む「ポチャンポチャン」という音がします。足元にはたくさんのカエル、そして田んぼの中にはメダカやドジョウがいます。それを狙って草を分けてシマヘビやカナヘビが、空からはカモやシラサギなどもやってきます。
夏本番になると、様々な種類のトンボやクモ、バッタ、カマキリ、イナゴ、テントウムシ、カメムシなどの虫もたくさん出てきます。
虫が稲に付くのは、除草剤で雑草を全て枯らしてしまうことが要因のひとつ。
多くが害虫として農薬で駆除されてしまいますが、本来それらはカエルのエサになるのです。除草剤を使わずに雑草を少しだけ残してあげれば、そこに虫が棲み、蜘蛛もやってきて、それを食べるカエルやヘビや鳥もやってくる。
そうして小さいものを大きいものが食べ、それぞれの死骸やフンを微生物が分解して肥料になる、という自然循環によって土を豊かにしてくれています。
ホウネンエビが見れるのも杉本さんの田んぼの特長です。
体長2cmほどの小さなエビの仲間で、昔はどこの田んぼにもいたのですが、農薬や化学肥料が多く使われるようになってからは見かけることはなくなりました。
環境の悪いところでは見られないので、田んぼの状態のバロメーターになっています。
田んぼの生き物たちを大切にして、極力手を加えない杉本さんの米作りにおいて、田植え前の作業は特に大切です。
土の中に酸素を送ったりガスを抜いたり、雑草の種を深く埋め込んで発芽させないようにするための田起こしを、杉本さんは2回に分けて行います。
1回目は稲ワラやもみ殻、精米して出た糠など、自分の田んぼで得たものを土に混ぜ込み、それらを田植えの頃に肥料化させるのが目的です。
静岡の気候に合わせて、ほど良く発酵させ土中で肥料化するために、まだ寒い1月のうちに行います。
土の状態は田んぼによって異なるので、土の状態をみながらゆっくり丁寧に行います。化学肥料や有機肥料を使わないためには、この作業をきめ細かく行う必要があるのです。
そして春に行う2回目の田起こしで、雑草を刈り、土の中に埋め込んでしまいます。
水を張った後は、田植えをする前に苗が均一に育つように、根付きが良くなるように、雑草を埋め込んで伸びてこないように、田んぼを平らにする「代掻き」をしますが、農薬を使わないため、雑草対策としてより周到に行います。
生き物でいっぱいの杉本さんの田んぼでは、代?きの作業中もシラサギがエサを探しています。
農薬も化学肥料も、そして外部から持ち込む有機肥料も使わない米作り。
農薬や化学肥料・有機肥料を「悪者」として批判するつもりはない。でも、田んぼの生き物たちと一緒に、自分の土地の力だけで育てた土地の味がするお米を作りたい。
この米作りなら、生態系や生物多様性が守れる。エコにも通じる。ちょっと大げさに言えば、日本の農業の在り方にも、ひとつの道筋を示すことができるかも知れない。
それが僕の米作りです。
杉本 一詩
名称 | 玄米コシヒカリ |
原産地 | 国内産(静岡県産) |
栽培方法 | 有機JAS 農薬 :不使用 除草剤:不使用 肥料 :不使用 |
使用割合 | 10割 |
内容量 | 2kg 5kg 10kg(5kg×2袋) |
保存方法 | 冷暗所で保存してください。高温になりますと虫やカビが発生しやすくなりますのでご注意ください。 |
生産者 | 杉本農園 杉本一詩 静岡県焼津市上小杉 |